
気象庁の「台風の平年値」(1991~2020年の30年平均)によると、関東甲信地方への台風の接近数は、1年のうち9月がいちばん多くなっています。雨には、レインウェアや荷物の防水である程度は備えられますが、それでも路面は滑りやすく、見通しも悪くなります。そこに加わる風は、装備では防げません。目に見えず、同じ日でも場所によって強さが変わり、原付は車体ごとあおられることがあります。今回は新宿駅前のレンタルバイク専門ウバレンが、気象庁の「風の強さと吹き方」と、東京23区の強風注意報・暴風警報の発表基準をもとに、風の強い日に稼働するかどうか、どの段階で止めるかの決め方を整理します(2026年9月時点)。
風速は「平均」と「瞬間」の2つで読む
気象庁の予報用語では、単に「風速」といえば10分間の平均風速を指します。気象庁ホームページの「風の強さと吹き方」によると、平均風速は10分間の平均、瞬間風速は3秒間の平均で、瞬間風速は平均風速の1.5倍程度になることが多いものの、大気の状態が不安定な場合などは3倍以上になることがあると説明されています。
つまり、予報の平均風速が10m/sの日でも、原付に乗っている体が受けるのは、その1.5倍前後、大気の状態が不安定なときはそれ以上の風が断続的に来る状態だということです。走っていて怖いのは平均の風ではなく、急に来る強い一吹きです。平均風速の数字だけを見て「このくらいなら大丈夫」と決めないようにしてください。気象庁の予報用語では、「やや強い風」は風速10m/s以上15m/s未満、「強い風」は15m/s以上20m/s未満の風を指します。
東京23区の強風注意報は平均風速13m/s、暴風警報は25m/s
判断の物差しとして、まず気象庁の警報・注意報の基準を知っておくと便利です。気象庁ホームページの「特別警報の指標及び危険警報・警報・注意報発表基準一覧表(東京都)」によると、新宿区を含む東京23区の基準は、どの区も次のとおりです(令和8年5月28日時点の一覧)。
▶ 強風注意報
平均風速13m/s。気象庁は、強風により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表するとしています。
▶ 暴風警報
平均風速25m/s。暴風により重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表するとしています。
なお、2026年5月29日から気象庁の防災気象情報が変わり、大雨などの情報は「レベル3大雨警報」のようにレベルの数字の付いた名前になりました。気象庁の「気象警報・注意報の種類」のページでは、風については今も「暴風警報」「強風注意報」の名前で説明されています。警報・注意報の基準は地域によって異なるので、東京23区以外で稼働するときは、その地域の基準を確認してください。
風速ごとに何が起きるか(気象庁の目安)
気象庁の「風の強さと吹き方」には、風速ごとに人や車、まちの様子にどんな影響が出るかがまとめられています。配達に関係するところを抜き出すと次のとおりです。
▶ 平均10m/s以上15m/s未満(やや強い風)
風に向かって歩きにくくなり、傘がさせない。走行中の車は、高速運転中に横風に流される感覚を受ける。
▶ 平均15m/s以上20m/s未満(強い風)
風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出る。看板やトタン板が外れ始める。
▶ 平均20m/s以上30m/s未満(非常に強い風)
何かにつかまっていないと立っていられない。飛来物によって負傷するおそれがある。走行中の車は、通常の速度で運転するのが困難になる。表では、平均25m/s以上30m/s未満の欄の途中から先を「屋外での行動は極めて危険」「走行中のトラックが横転する」としています。
東京23区の強風注意報の13m/sは「やや強い風」の中に、暴風警報の25m/sは「非常に強い風」の中に入ります。ただし、この表の車の欄は「高速運転中」「トラック」など自動車を想定した書き方で、原付についての記述はありません。原付は車体が軽く、乗っている人の体もそのまま風を受けることを考えると、車の欄より手前の段階から影響が出ると考えておくほうが安全です。
稼働するか、止めるか。3つのラインで決める
ここまでを踏まえて、ウバレンとしておすすめしたい決め方は次の3段階です。法律や気象庁が決めた線ではなく、気象庁の表をもとに当店が安全側に置いた目安で、50cc・125cc・屋根付きのジャイロキャノピーのどれに乗っていても同じです。
▶ 強風注意報が出ている、または予報が平均10m/s以上
稼働するなら条件を絞る日です。橋や海沿いを通る案件、長距離の案件は受けない。短い距離で完結する案件だけにして、荷物の固定をいつもより念入りにします。この段階でも、走り出してあおられる・ふらつくと感じたら、その時点で止めてください。
▶ 予報が平均15m/s以上
気象庁の目安で、風に向かって歩けなくなり「転倒する人も出る」とされる段階です。原付での稼働は見合わせてください。瞬間的にはさらに強い風が来ることも忘れないでください。
▶ 暴風警報(さらに上の暴風特別警報を含む)が出ている
稼働しない日です。何かにつかまっていないと立っていられず、飛来物で負傷するおそれがある段階で、配達を続ける理由はありません。
3つのラインは「ここを越えたら止める」ための線で、「ここまでなら走ってよい」という線ではありません。注意報・警報が出ていない、予報が10m/sに届かないという日でも、安全に走れるという意味にはなりません。
台風が近づいている日は、走り出したときより風が強まっていく前提で考えてください。気象庁は台風の用語として、台風の周辺で平均風速15m/s以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に吹く可能性のある範囲を「強風域」、同じく平均25m/s以上の範囲を「暴風域」と説明しています。台風情報で強風域にかかる見込みの時間帯は2段目(見合わせ)と同じに扱い、かかる前に稼働を切り上げておくことをおすすめします。夜間は飛んでくる物や路上に落ちた物が見えにくくなるので、昼間より早めに切り上げてください。
台風の日は、風のほかに大雨・高潮などレベルの数字の付いた情報も出ることがあります。気象庁は、レベル4やレベル3の情報が発表された場合にはキキクルや河川の水位情報などを確認して早めの避難を心がけるよう呼びかけています。風のラインとは別に、これらが出ていないかも確認し、出ているときは配達をやめて、身の安全を優先してください。冠水している道路や、周りより低くなっているアンダーパスには入らないでください。稼働しているエリアの市区町村から避難情報が出ていないかも、あわせて確認してください。
悪天候の日は報酬の上乗せが出ることもありますが、その仕組みは雨の日は配達報酬が上がる?で書いたとおり、倍率や金額は公式には示されておらず、アプリに表示される金額を見るまで分かりません。上乗せがあっても、止める基準は動かさないことが大切です。
同じ風速でも、場所によって強さが変わる
予報の数字が同じでも、走る場所によって受ける風は違います。気象庁の「風の強さと吹き方」は、風速は地形や周りの建物などに影響されるので、その場所での風速は近くにある観測所の値と大きく異なることがあると注意書きをしています。
▶ 橋の上・川沿い・海沿い
さえぎる物がない場所です。こうした場所の道路には、黄色いひし形に吹き流しの絵の「横風注意」の警戒標識があり、「横風注意」と書かれた補助標識が添えられていることもあります。国家公安委員会の「交通の方法に関する教則」の付表では、この補助標識を「強い横風のおそれがあるため注意が必要であること」を表示するものとしています。ウバレンとしては、この標識を見たら速度を落として両手でハンドルを握り、追い越しはしないことをおすすめします。
▶ 高いビルの間・ビルの角
気象庁の注意書きにある「周りの建物」の影響を受けやすい場所です。予報の数字どおりの風とは限らないので、ビルの切れ目や角を曲がるときは、曲がる前から速度を落としておきます。
▶ 停めている間
ピックアップや受け渡しで車両を離れる間も風は吹いています。風の強い日は、停める場所も風当たりを見て選んでください。停める場所そのもののルールはデリバリー配達の待機場所|原付の停め方と駐車のルールにまとめています。
リアキャリアに載せた配達バッグは、出発前にベルトや固定具のゆるみを確かめてください。バッグの選び方はデリバリー向け配達バッグの選び方で詳しく扱っています。
レンタル車両で転倒したときに知っておきたいこと
風にあおられて転倒すると、ケガだけでなく契約の面でも負担が出ます。ウバレンの料金表・よくある質問・注意事項には、次のことが書かれています。止める判断の材料として、先に知っておいてください。
▶ 事故が起きた時点で、レンタル契約は終了
事故が発生した時点でレンタル契約は終了となり、レンタル期間が残っていても、お支払いいただいた料金は返金できません(例外を含む詳しい条件は貸渡約款第27条にあります。ご不明点はLINEでご相談ください)。
▶ 車両が壊れたときはノンオペレーションチャージ(NOC)
料金表では、使用中の単独事故や被害事故、故障、盗難で車両損害が出た場合に、損害の程度や修理期間にかかわらずノンオペレーションチャージをいただくとしています。金額は自走可能な場合3万円、自走不可能な場合6万円(車両損害状況によって変わる場合があります)で、被害事故の場合は2万円と記載されています。
▶ 自損事故の修理代は、補償に入っていても免責がある
自損事故に対応するオプションの車両損害免責保障(3,500円)に加入している場合も、免責額は50ccで5万円、110cc以上で7万円、ジャイロキャノピーで8万円です(料金表では免責を「事故を起こした際にお客様にご負担いただく最大のお支払金額」と説明しています)。全損は補償の対象外です。また料金表には「ノンオペレーションチャージは車両補償の免責負担額とは異なります」とあり、上のNOCは免責とは別にかかります。なお貸渡約款第27条では、事故などでレンタルバイクが使用できなくなったときは、引取や修理などに要する費用を借りた側が負担するとしています。オプションに加入していない場合の負担は、契約前にLINEでご確認ください。
▶ 任意保険は対物に免責15万円、ご自身のケガの補償(搭乗者傷害)はなし
全車両に自賠責保険と任意保険(対人無制限・対物無制限)が含まれていますが、対物は1事故につき免責15万円で、料金表には「免責金額をお支払できない方には保険適用できません」とあります。搭乗者保険は含まれていません(料金表でも搭乗者傷害は「補償なし」です)。ご自身のケガへの備えは別に考えておく必要があります。配達員が入れる公的な保険については配達員は労災保険に入れる?原付バイクの特別加入で解説しています。
また、よくある質問では、事故のときに負傷者の救護、車両の安全な場所への移動、警察への通報と届出、相手の確認、出発店舗への連絡の5項目を必ず守るよう定めていて、怠ると保険・補償の適用を受けられません。貸渡約款第25条でも、使用中の事故は大小にかかわらず、直ちに運転を中止して当店に報告し、指示に従うことになっています。相手のいない転倒でも自己判断で済ませず、当店に連絡してください。このほか注意事項②には、ヘルメット未着用や道路交通法違反、「運転、操作ミスによる故障」なども、補償の適用が受けられない場合として挙げられています。風にあおられて転倒したときの扱いも含め、ご不明点はLINEでご確認ください。契約前に確認しておきたい点は配達用レンタル原付の契約前チェックにまとめています。台風などで返却日に車両を返せないときは、貸渡約款第18条にあるとおり、直ちに当店に連絡して指示に従ってください。連絡はLINEで受け付けています。
止めるラインは、稼働前に決めておく
風の強い日の判断は、その場の感覚で「まだいける」と決めるほどぶれます。予報の平均風速と、強風注意報・暴風警報が出ているかを稼働前にも稼働中にもこまめに確認し、決めておいたラインを越えたら止める。それだけで、無理をして転倒するリスクや、そのあとに続く出費・稼働できない期間を減らせます。ラインより手前でも、走っていてあおられる・ふらつくと感じたら、その時点で止めてください。
そのうえで、台風が過ぎて風が収まった日にしっかり走れるよう、体と車両の状態を保っておくことが、1か月単位で見たときにいちばん効きます。気象庁の予報用語では、台風が通過した後にそれまでと大きく異なる風向から吹く強い風を「吹き返しの風」と呼んでいます。雨がやんだ、台風が過ぎたというだけで走り出さず、風の予報と、強風注意報・暴風警報が続いていないかを確かめてから再開してください。雨の日の走り方や装備はウーバーイーツ雨の日配達のコツと安全対策にまとめていますが、台風や強風が重なる日は、この記事のラインを優先してください。
新宿でデリバリー用の原付を借りるなら
ウバレンは、JR新宿駅東南口から徒歩30秒のデリバリー配達専門レンタル原付バイク店です。全車にスマホホルダーとリアキャリアを備え、任意保険付き・消耗品は当社負担でお渡ししています。初期費用の後払いにも対応しています(審査があり、当店の判断で初期費用が必要になる場合があります)。
料金は50ccが月29,000円(税込)から、125ccが月30,000円(税込)から、屋根付きのジャイロキャノピー50cc(ミニカー仕様)が月38,000円(税込)です。別途、初回手続時に事務手数料3,300円をいただきます。車種のラインアップはお取扱い車両のページを、月額や補償の詳細は料金表のページをご覧ください。
完全予約制です。空き状況の確認・お見積りはLINEから、ご予約はLINEまたは予約フォームからお願いします。お問い合わせはLINEのみで承っており、お電話でのお問い合わせは受け付けておりません。ご理解のほどお願いいたします。
※本記事の気象・交通に関する記述の出典は、気象庁ホームページ「風の強さと吹き方」、気象庁ホームページ「風」(予報用語)、気象庁ホームページ「特別警報の指標及び危険警報・警報・注意報発表基準一覧表(東京都)」、気象庁ホームページ「気象警報・注意報の種類」、気象庁ホームページ「新たな防災気象情報について(令和8年~)」、気象庁ホームページ「台風の平年値」、気象庁ホームページ「気圧配置 台風に関する用語」、警察庁ウェブサイト「交通の方法に関する教則」(PDF)です(2026年9月15日確認)。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。実際の稼働の判断は、当日の気象情報と自治体の発表を確認して行ってください。