
配達中に自分がケガをしたとき、治療費や休んだ間の収入はどうなるのか——業務委託で走っている配達員にとって、いちばん不安が残る部分です。会社員なら労災保険が使えますが、個人事業主は労働者ではないため、そのままでは対象になりません。ただし原付で配達をしている人は、労災保険に「特別加入」できます。この記事では、新宿駅前のデリバリー専門レンタル原付店ウバレンが、厚生労働省が公開している情報をもとに、特別加入の対象・手続き・任意保険との違いを整理します。
特別加入とは、労働者以外にも労災を広げる制度
労災保険は本来、雇われて働く人(労働者)のための制度です。ただし厚生労働省は、労働者以外でも「労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の人」については、任意で加入できる仕組みを用意しています。これが特別加入制度です。
対象のひとつが「一人親方」で、厚生労働省の案内では「労働者を使用しないことを常態とする自営業者」と説明されています。ひとりで配達をしている個人事業主は、ここに当てはまります。
原付での配達は、すでに対象になっている
バイクを使った貨物運送の扱いは、段階的に広がってきました。
▶ 平成25年4月1日から
それまでは総排気量125cc超のバイクを使う個人事業者だけが対象でしたが、この日から道路運送車両法に基づく原動機付自転車(125cc以下)を使用する事業者も加入の対象になりました。
▶ 令和3年9月1日から
厚生労働省は「これまで、自動車及び原動機付自転車を使用して貨物運送事業を行う者を、一人親方等として特別加入の対象範囲としていましたが、令和3年9月1日からは、自転車を使用して貨物運送事業を行う者も、特別加入の対象となりました」と案内しています。
つまり、50ccでも125ccでも、原付でデリバリーをしている人はもともと対象です。「バイク配達は入れないのでは」と思われがちですが、それは誤解です。自転車で配達している人も、2021年9月から入れるようになっています。
「フリーランスも労災に入れる」とは枠が違います
令和6年11月1日から、業種・職種を問わずフリーランス(特定受託事業者)が特別加入できる「特定フリーランス事業」という枠が新設されました。ニュースで見た方も多いと思います。
ただし配達員は、ここで注意が必要です。厚生労働省の資料には、特定フリーランス事業の対象ではない事業として「個人タクシー業者、個人貨物運送業者など」が挙げられ、その注記に「自動車や原動機付自転車を使用したフードデリバリーサービス、貨物軽自動車運送事業者(黒ナンバー)など」と明記されています。同資料は、対象ではない人は「該当する特別加入団体を通じて加入してください」としています。
つまり原付でのデリバリーは、新しいフリーランスの枠ではなく、従来からある「個人貨物運送業者」の枠で加入することになります。フリーランス向けをうたう団体にそのまま申し込むと窓口違いになるので、申し込む前にどの枠での加入になるのかを確認してください。
加入は「団体を通して」行う
特別加入で戸惑いやすいのが、手続きの入口です。個人が労働基準監督署の窓口へ直接申し込む形ではありません。厚生労働省の案内では、特別加入を希望する人は「都道府県労働局長の承認を受けた一人親方等の団体(特別加入団体)を通じて(または新たに団体を設立して)」手続きをすることとされています。
実際には、すでにある特別加入団体に申し込むのが現実的です。厚生労働省の資料には、既存の団体を通じて加入する場合について「保険料のほか、団体の入会金や手数料などが必要になることがあります」とも書かれています。団体の情報は都道府県労働局に問い合わせれば教えてもらえるほか、厚生労働省が特別加入団体の一覧も公開しています。
保険料の本体は国が決めた率で、団体では変わらない
ここは比較するときに知っておくと迷いません。年間保険料は、保険料算定基礎額(給付基礎日額×365日)に、事業ごとに定められた保険料率を掛けた額です。原付・自転車での貨物運送が入る「自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業」の率は、厚生労働省の第2種特別加入保険料率表で1000分の11とされています(2026年8月時点)。
給付基礎日額は3,500円から25,000円までの範囲で選び、申請にもとづいて労働局長が決定します。日額を高くすれば保険料も上がり、そのぶん休業時などの給付も手厚くなります。たとえば日額10,000円なら、算定基礎額は365万円、年間保険料は約4万円という計算です。
つまり保険料の本体は国が決めた率なので、どの団体から入っても同じです。団体ごとに違うのは入会金や手数料、サポートの内容のほうなので、比べるときはそこを見てください。なお率や日額の区分は改定されることがあるため、加入前に労働局か団体で最新の条件をご確認ください。
任意保険とは守る対象が違う
ここが今回いちばん伝えたい点です。配達中の事故には、性質の違う2つの備えがあります。
▶ 任意保険(対人・対物)=相手のケガや、ぶつけた相手の車・建物など他人への賠償が中心
▶ 労災保険の特別加入=自分のケガの治療費や、働けない間の補償
相手への賠償が手厚くても、自分のケガまで自動的にカバーされるとは限りません。レンタル車両でも、搭乗者傷害が付いていない契約はあります。ウバレンの任意保険も搭乗者傷害は補償なしで、転倒して自分だけがケガをしたときの治療費はカバーされません。契約条件は配達用レンタル原付の契約前チェックで数字まで公開していますので、ご自身の備えの穴を確認するのに使ってください。任意保険と自賠責の違いは配達原付の任意保険とはにまとめています。
なお、配達プラットフォーム側が独自の補償制度を用意している場合もあります。補償の範囲や条件はサービスごとに異なり、変更されることもあるため、加入を検討するときは自分が使っているサービスの補償内容とあわせて、重複や不足を確認するのが確実です。
検討するときの順番
いきなり団体を探す前に、次の順で整理すると迷いません。
1. 自分が「労働者を使用しない自営業者」に当てはまるかを確認する
2. 使っている車両(原付・自転車)が対象であることを確認する
3. 今の備え(レンタル契約の補償・自分で入っている保険・サービス側の制度)で、自分のケガと休業がどこまで見られるかを書き出す
4. 足りない部分がはっきりしたら、特別加入団体の費用と条件を比べる
事故が起きてからでは間に合いません。実際の事故対応の流れは配達中の事故対応と保険請求の流れで解説していますので、あわせて目を通しておくと、いざというときの動きが変わります。
安心して走れる体制はウバレンで
ウバレンは、新宿駅東南口から徒歩30秒のデリバリー専門レンタル原付店です。任意保険付きの車両をご用意し、消耗品は当社負担、初期費用の後払いにも対応しています。車両のラインナップは車両ページ、月額は料金表をご覧ください。完全予約制ですので、ご来店前にご予約をお願いします。お問い合わせはLINEのみで承っています(電話でのお問い合わせは承っておりません)。
※本記事の制度に関する記述は、厚生労働省「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」、同省「令和6年11月1日から『フリーランス』が労災保険の『特別加入』の対象となりました」および関連リーフレット、「令和3年9月1日から労災保険の『特別加入』の対象が広がりました」、リーフレット「総排気量125cc以下のバイク(原動機付自転車)を使用して貨物運送事業を行う皆さまへ」に掲載されている内容(2026年8月16日確認)に基づいています。制度の内容・保険料率・給付基礎日額は改定される場合があるため、加入前に都道府県労働局または特別加入団体で最新の条件をご確認ください。
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